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Envoy Proxy による HTTPS Proxy

| 6 min read
Author: shigeki-shoji shigeki-shojiの画像

庄司です。

WebAuthn でパスワードの無い世界へ」の記事では、AWS Fargate を使って Keycloak を起動してデモンストレーション環境を構築しました。

記事で説明した環境は、Keycloak のための AWS Fargate 以外に、ロードバランサ (ALB) など時間課金のリソースも含んでいました。

この記事では「S3 の静的 Web サイトをセキュアに Envoy でホスティング」などの記事で取り上げた Envoy Proxy を HTTPS Proxy として使用し AWS リソースの利用は Route 53 だけで、プライベートネットワーク上に HTTPS でアクセスする Keycloak 環境を構築します。

証明書

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無料の証明書という点では、自己署名証明書 (Self-signed Certificate、いわゆるオレオレ証明書) もありますが、この記事では Let's Encrypt で証明書を作成します。

準備

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Let's Encrypt で証明書を作成するために certbot をインストールして使用します。残念ながら Windows で動作する certbot は無いようです。著者は macOS を利用しました。Homebrew を使って次のコマンドでインストールできます。

brew install certbot

証明書の作成

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外部つまりインターネットからのアクセスを許可せずに証明書を作成するため、次のコマンドを使用します。

sudo certbot certonly --manual --preferred-challenges dns
Please enter in your domain name(s) (comma and/or space separated)  (Enter 'c'
 to cancel):

と聞かれるので、所有するドメイン名を入力します。このときワイルドカードを利用すると便利です。所有するドメイン名が example.com だとすると、ワイルドカードを使った入力は *.example.com となります。

ドメイン名の所有を確認するために、DNS (Route 53) にレコードの追加を求めるメッセージが表示されます。

指示に従って Route 53 に TXT レコードを追加します。

_acme-challenge.example.com TXT "<表示された値>"

このテキストレコードが認識されるまでに少し時間がかかるかもしれません、数分待って Enter キーを押します。

成功すると、/etc/letsencrypt/live/ にドメイン名のディレクトリが作成され、そのディレクトリに証明書が生成されます。example.com の場合であれば /etc/letsencrypt/live/example.com ディレクトリに証明書が生成されます。

Docker Compose による起動

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Envoy Proxy と Keycloak の2つのコンテナを起動するため、次の docker-compose.yml ファイルを作成しました。

version: "3"
services:
  envoy:
    image: envoyproxy/envoy:v1.21-latest
    volumes:
      - ./front-envoy.yaml:/etc/front-envoy.yaml
      - ./certs:/etc/envoy/certs
    ports:
      - 443:443
      - 9901:9901
    command: ["-c", "/etc/front-envoy.yaml", "--service-cluster", "front-proxy"]
  keycloak:
    image: quay.io/keycloak/keycloak
    volumes:
      - ./datadir:/opt/keycloak/data
    command:
      - start
      - --proxy=edge
      - --hostname-strict=false
      - --http-relative-path
      - auth
    environment:
      KEYCLOAK_ADMIN: admin
      KEYCLOAK_ADMIN_PASSWORD: password
      PROXY_ADDRESS_FORWARDING: true

/etc/letsencrypt/live/example.com/ ディレクトリに生成されたファイルは docker-compose.yml ファイルがあるディレクトリに certs ディレクトリを作成してコピーしてください。

docker-compose.yml ファイルがあるディレクトリに front-envoy.yaml ファイルも作成しました。

admin:
  address:
    socket_address:
      address: 0.0.0.0
      port_value: 9901

static_resources:
  listeners:
    - address:
        socket_address:
          address: 0.0.0.0
          port_value: 443
      filter_chains:
        - filters:
            - name: envoy.filters.network.http_connection_manager
              typed_config:
                '@type': type.googleapis.com/envoy.extensions.filters.network.http_connection_manager.v3.HttpConnectionManager
                codec_type: AUTO
                stat_prefix: ingress_http
                route_config:
                  name: auth_route
                  virtual_hosts:
                    - name: keycloak
                      domains:
                        - '*'
                      routes:
                        - match:
                            prefix: /
                          route:
                            cluster: keycloak
                http_filters:
                  - name: envoy.filters.http.router
          transport_socket:
            name: envoy.transport_sockets.tls
            typed_config:
              "@type": type.googleapis.com/envoy.extensions.transport_sockets.tls.v3.DownstreamTlsContext
              common_tls_context:
                tls_certificates:
                  - certificate_chain:
                      filename: "/etc/envoy/certs/fullchain.pem"
                    private_key:
                      filename: "/etc/envoy/certs/privkey.pem"
                validation_context:
                  trusted_ca:
                    filename: "/etc/envoy/certs/cert.pem"

  clusters:
    - name: keycloak
      type: LOGICAL_DNS
      load_assignment:
        cluster_name: keycloak
        endpoints:
          - lb_endpoints:
              - endpoint:
                  address:
                    socket_address:
                      address: keycloak
                      port_value: 8080

上記の設定で、外部からのアクセスを HTTPS で受ける listeners 設定のポイントは次のとおりです。

  • socket_addressport_value: 443 を設定します。
  • filter_chainstransport_socket を設定して、証明書ファイルパスを設定します。

起動

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起動は docker compose up -d です。停止は docker compose down です。

DNS レコードの登録

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Route 53 に Keycloak を起動する PC の IP アドレスの A レコードを作成します。例えば、PC の IP アドレスが 192.168.1.2 の場合 keycloak.example.com でアクセスするようにしたい場合は次の通りです。

keycloak.example.com A 192.168.1.2

Route 53 へのレコードの登録の反映には少し時間がかかるかもしれません。数分待って、iPad 等の Safari で上の例の場合では https://keycloak.example.com/auth にアクセスしてください。Keycloak の Welcome 画面が表示されます。

Information

Keycloak へのアクセスで使用する端末に PC を使う場合は、ここで説明したような DNS レコードではなく /etc/hosts ファイルの使用も可能です。この記事では iPad、iPhone、Android 等の /etc/hosts ファイルの編集ができない/困難な端末の使用を想定しているため、Route 53 にレコードを追加しています。

まとめ

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プライベートネットワークに HTTPS で提供するアプリケーションは、証明書として自己署名証明書を利用する方法、プロキシを使用せずアプリケーション自体に証明書をインストールする方法、プロキシに Nginx や HAProxy 等を利用する方法など、多くの選択肢があります。この記事では、証明書に Let's Encrypt を使い、プロキシに Envoy Proxy を利用する方法を説明しました。

この記事で説明した方法を使えば、Keycloak を任意の Web アプリケーションに代えて HTTPS アクセスに対応させることができ、特に開発中や試行中に AWS などのクラウドにかかるコストを抑制することが可能になります。

この記事で説明した docker-compose.yml などのコードの全体は GitHub リポジトリ にあります。

次回 は構築したパスワードレス認証基盤をアプリケーションで使用するサンプル実装を説明します。

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