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Terraformコードのリファクタリング

| 4 min read
Author: tadashi-nakamura tadashi-nakamuraの画像

はじめに

#

Terraform のコードに対してリネームやリソースのモジュール間で移動すると、 terraform applyした際にリネームしたリソースの削除/再生成が行われてしまいます。
そこで、実際のインフラに影響を与えずにリソース名の変更およびリソースのモジュール間の移動するための手順を紹介します。

なお、今回の内容は一般的なものですが、豆蔵社内で開発・運用している 営業支援システム(Sales Support System)(以下、SSS)での知見ということで、以下の前提の下で確認しています。

  • 既存の AWS 環境が Terraform の IaC で管理されている。
  • Terraform のコードが複数のディレクトリ(モジュール)で分割されている。
  • Terraform の状態が AWS S3 バケットに保存されている。

SSS では、AWS S3 への Terraform 状態の保存のため、以下のようなファイルを定義し、Terraform の実行時に引数で指定しています。

backend.hcl
bucket = "<Terraformの状態管理ファイルのAWS S3バケット名>"
key    = "<Terraformの状態管理ファイルのAWS S3オブジェクト名>"
region = "<AWS S3を配置するリージョン>"

※最後のシェルスクリプトで参照しています。

リソース確認

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Terraform で管理されているリソースを確認する場合は以下のコマンドを実行します。

terraform state list

表示された一覧からリソース名の変更またはモジュール間で移動するリソースを特定します。

リソース名の変更

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同じモジュール内でリソースの名称を変更する場合は以下のコマンドを実行します。

terraform state mv "<変更前のリソース名>" "<変更後のリソース名>"

例えば以下のような感じになります。

terraform state mv "module.application.aws_ecs_task_definition.one" "module.application.aws_ecs_task_definition.the_other"

これは以下のようにapplicationのモジュール内のaws_ecs_task_definitionリソース種別のoneというリソースをthe_otherに変更します。

application/main.tf(before)
resource "aws_ecs_task_definition" "one" {
  ...
}
application/main.tf(after)
resource "aws_ecs_task_definition" "the_other" {
  ...
}

モジュール間のリソースの移動

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モジュール間のリソースの移動も基本的にはリソース名の変更と同じコマンド(Unix 系のシェルコマンドのmvと同じく、リネームと移動が出来ます)を使用します。
異なるのは Terraform の管理下内での移動ではなく、ファイルを経由するということです。

以下のような流れになります。

  1. 移動対象のリソースを移動元のモジュールの Terraform 管理下から状態のエクスポート用ファイルに移動する
  2. 移動対象のリソースを移動先のモジュールの状態をファイルに出力する
  3. 移動対象のリソースを状態のエクスポート用ファイルから移動先の状態ファイルに移動する
  4. 更新された移動先の状態ファイルの内容を移動先のモジュールの Terraform 管理下に取り込む

では、実際に個々のコマンドを見ていきましょう。

まずは Terraform 管理下からファイルにリソースを移動します。

terraform state mv -state-out=<エクスポート用ファイル名> "<移動対象のリソース名>" "<移動対象のリソース名>"

ここで、リソース名の変更のように最後のパラメタの値を「移動対象のリソース名」から別の名称に変更すると同時にリソース名の変更もすることになります。

次に、移動先の状態をファイルに出力します。

terraform state pull > <移動先モジュールの状態ファイル名>

続いて、ファイル間でリソースの移動をします。

terraform state mv -state=<エクスポート用ファイル名> -state-out=<移動先モジュールの状態ファイル名> "<移動対象のリソース名>" "<移動対象のリソース名>"

最後に、更新された状態ファイルを Terraform 管理下に戻します。

terraform state push <移動先モジュールの状態ファイル名>

まとめてリソースを移動するためのシェルスクリプト

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最後に一括で移動するためのシェルスクリプトのテンプレートを以下に示して終わりにしたいと思います。

move_resources.sh
#!/usr/bin/bash

# Variables
RESOURCES=(
    # リソース名を列挙
    "aws_vpc.this" # 例
    "aws_vpc.that" # 例
    ...
)

SOURCE_DIR=<移動元のモジュールのディレクトリ名>
TARGET_DIR=<移動先のモジュールのディレクトリ名>
EXPORTED=<エクスポート用ファイル名>
TARGET_STATE=<移動先モジュールの状態ファイル名>

# Move out
cd $SOURCE_DIR
terraform init -backend-config=backend.hcl
for RESOURCE in ${RESOURCES[@]}; do
    echo Copy $RESOURCE Key File
    terraform state mv -state-out=$EXPORTED $RESOURCE $RESOURCE
done
terraform state list
cd ..

# Move in
cd $TARGET_DIR
terraform init -backend-config=backend.hcl
terraform state pull > $TARGET_STATE
for RESOURCE in ${RESOURCES[@]}; do
    echo Copy $RESOURCE Key File
    terraform state mv -state=$EXPORTED -state-out=$TARGET_STATE $RESOURCE $RESOURCE
done
terraform state push $TARGET_STATE
terraform state list
rm $TARGET_STATE $EXPORTED
cd ..

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