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目的・目標・手段を区別する力 ─ 新人プロジェクトマネージャーが指揮官から学ぶ計画思考

| 3 min read
Author: makoto-takahashi makoto-takahashiの画像

この記事は夏のリレー連載2025 1日目の記事です。

はじめに

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「計画を立てる」と聞くと、やることリストを並べるだけで終わってしまいがちです。

しかし本当に重要なのは、

  • なぜそれをやるのか(目的)
  • どこまで達成するのか(目標)
  • どうやって進めるのか(手段)

の3つをはっきり区別して考えることです。

この「目的・目標・手段」の明確な区別が、プロジェクト成功の鍵となります。
新人プロジェクトマネージャーが計画を立てるときに直面するのが、「目的・目標・手段の混同」です。

本記事ではその混同を防ぐために、プロジェクト計画立案の基本を解説します。
失敗例と成功例を交えて、具体的に説明していきます。

新人PM必見|プロジェクト計画の立て方と「目的・目標・手段」の違い

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目的と目標のイメージ

上図のように、目的は最終的な到達点であり、目標はそこにたどり着くための通過点です。
それぞれの意味を押さえましょう。

用語 意味 ポイント
目的 最終的に達成したいこと 顧客満足度を上げる プロジェクトの根本的な意義や成果
目標 目的を達成するための到達点 半年で登録者1万人 測定可能な具体的な達成基準
手段 目標を実現するための方法 広告出稿、機能追加 具体的な行動や施策

軍事計画に学ぶ目的・目標・手段の具体例|新人PM向け解説

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「目的はパリ、目標はフランス軍」
これは、第二次世界大戦前のドイツ軍で、指揮官が部下に示した計画指針として紹介される有名なフレーズです。

戦略レベルの指揮官は、まず「最終の目的(パリ攻略)」を示しました。
同時に「直近で達成すべき目標(フランス軍の撃破)」も明確に区別し、部下に伝えていたのです。

  • 目的:パリを陥落させる(最終的なゴール)
  • 目標:フランス軍を撃破する(途中の到達点)
  • 手段:機甲師団で電撃的に侵攻する(具体的な方法)

このように、目的・目標・手段は論理的につながっています。
しかし、どれかが抜けたり曖昧だと、計画は簡単にズレてしまいます。

プロジェクトマネジメントも同じで、この区別を誤ると計画は簡単に崩れてしまいます。
では実際のプロジェクト現場ではどうなるのか、失敗例から見ていきましょう。

プロジェクト計画失敗例|手段が目的を食う典型パターン

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私が関わったJ社の電話受付システム開発の例です。

  • 目的:顧客対応を迅速化し、満足度を上げる
  • 目標:受付業務を効率化できるシステムを納期通り稼働させる
  • 手段:UI改善などの機能開発

テスト中にUI改善要望が増え、PMは「より良い画面作り」に注力しすぎました。
その結果、UI改善が雪だるま式に膨らみました。

納期は半年も遅延し、目的だった顧客満足度も上がりません。
結局プロジェクトは赤字に終わったのです。

教訓:
手段は目的のために存在すること。
手段が目的を食ってしまうと、プロジェクト全体が崩れてしまうでしょう。

この失敗は「手段が目的を食った」典型でした。

逆に、目的・目標・手段を正しく切り分ければ計画はうまく回ります。
次にその成功例を見てみましょう。

新人PM必見|目的・目標・手段で成功する計画の例と4原則

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一方で、Webサービスを提供するS社では目的・目標・手段を正しく区別していました。
彼らは次のように計画を立てたのです。

  • 目的:サービス登録数の増加
  • 目標:半年以内に登録者1万人
  • 手段:タクシー広告キャンペーン+無料アカウントでの新機能お試し提供

開発計画は企画・開発・品質保証担当と何度もレビューを重ねました。
さらに、プロジェクトのキックオフでは目的と目標を全員に共有しました。
また、進捗は週次で数値化し、以下の指標で管理しました。

  • 登録者数の推移(目標:1万人)
  • 広告経由の登録者割合(ターゲット35%以上)
  • 新機能無料トライアル利用者数
  • 有料プラン転換率(目標7%以上)

結果、登録者数は目標の1.2倍となる12,000人に到達しました。
広告経由の登録者は全体の35%を占めました。
さらに、無料トライアル利用者の約8%が有料プランへと転換しました。

これらの数値は、進捗が計画通りに管理されたことを示しています。
また、目標設定の明確さが成功の大きな要因であったことも裏付けています。

このように、成功したプロジェクトは例外なく「目的・目標・手段」を明確にしていました。
では、どのように整理すれば再現性を持って活用できるのでしょうか。

そこで役立つのが、次に紹介する4原則と整理シートです。

新人PM向け「目的・目標・手段」計画の4原則

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  • 意欲的な目標を立てる
     現状維持では変化は生まれません。
  • 目標を数値で示す
     「なんとなく達成」は存在しません。
  • 計画を立てる
     行き当たりばったりは失敗のもと。
  • レビューと進捗管理を行う
     計画は作ってからが勝負です。

新人PMが使える「目的・目標・手段」整理シート例

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下記のフォーマットを使えば、あなたのプロジェクトでもすぐに「目的・目標・手段」を整理できます。
プロジェクトキックオフや計画レビューの場で、この表をチームと共有すると有効です。

プロジェクト名 XYZシステム開発プロジェクト
目的(Why) 例:顧客満足度を向上させる
目標(What) 例:半年以内に応答時間を20%短縮
手段(How) 例:FAQ自動応答機能を追加、UI改善

👉 右の列を埋めるだけで、目的がブレない計画を作成できます。

新人PM向けチェックリスト|目的・目標・手段が正しく整理できているか

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  • 目的は「最終的な成果や意義」として表現できているか
  • 目標は「測定可能な数値」で定義されているか
  • 手段は「具体的なアクション」で、目標と直結しているか
  • 手段が目的を侵食していないか
  • チーム全員が目的・目標を理解し、合意しているか

まとめ

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  • 目的・目標・手段は必ず切り分ける
  • 手段が目的を食わないように注意する
  • 数値化とレビューで計画を回す

まとめると、新人PMがプロジェクト計画を立案するときは「目的・目標・手段」を区別することが不可欠です。
これにより、計画立案の精度が高まり、プロジェクトマネジメントの成功確率が大きく向上します。

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