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GitHub Actions ワークフローでリテラルの AWS アカウント ID を使用しないためのヒント

| 6 min read
Author: shigeki-shoji shigeki-shojiの画像

庄司です。

GitHub Actions で AWS にアクセスする場合 GitHub の OIDC プロバイダから発行される ID Token を AWS の IAM 外部プロバイダとして使用できます。

これにより、AWS_ACCESS_KEY_ID や AWS_SECRET_ACCESS_KEY のような永続的なクレデンシャルを設定する必要がなくなり、誤って公開されるリスクが大きく減少しました。

それでもまだ、AWS アカウント ID が ARN 等の定義の一部としてプッシュされているケースを時々見かけます。

Information

AWS アカウント ID は、管理コンソール等へのログイン時に使用する1つの情報になるため公開すべきではありません。

この記事では、さらにセキュアにするためテンプレートエンジンを使用して AWS アカウント ID を直接埋め込まない方法を紹介します。

GitHub の OIDC プロバイダを使用して AWS にアクセスする

#

最初に GitHub の OIDC プロバイダを使って AWS にアクセスする方法から説明します。概説すると次のようになります。

  • AWS Identity and Access Management (IAM) の ID プロバイダに GitHub を追加する
  • 追加した外部 ID プロバイダをプリンシパルとする IAM ロールを作成する
  • 作成した IAM ロールを使用する GitHub Actions ワークフローを記述する

1. AWS Identity and Access Management (IAM) の ID プロバイダに GitHub を追加

#

IAM の「アクセス管理」にある「ID プロバイダ」を選択し、「プロバイダを追加」ボタンをクリックします。

画面のように、「OpenID Connect」を選択し、プロバイダの URL に https://token.actions.githubusercontent.com、対象者を sts.amazonaws.com と入力して「プロバイダを追加」ボタンをクリックします。

ID Provider

2. 追加した外部 ID プロバイダをプリンシパルとする IAM ロールの作成

#

作成した ID プロバイダをプリンシパルに設定したロールを作成します。

ロールの「信頼関係」は次のようになります。

{
    "Version": "2012-10-17",
    "Statement": [
        {
            "Effect": "Allow",
            "Principal": {
                "Federated": "arn:aws:iam::{AWS Account ID}:oidc-provider/token.actions.githubusercontent.com"
            },
            "Action": "sts:AssumeRoleWithWebIdentity",
            "Condition": {
                "StringLike": {
                    "token.actions.githubusercontent.com:sub": "repo:{GitHub User/Organization}/{Repository Name}:*"
                }
            }
        }
    ]
}

AWS Account ID、GitHub User/Organization、Repository Name は使用する環境の値に置換してください。

ロールの「許可」は GitHub Actions にアクセスを許可する AWS サービスのポリシーを設定します。この記事の例のように S3 にファイルをコピーする場合は「AWSLambdaExecute」のような AWS 管理ポリシーが使用可能です。

3. ロールの登録と GitHub Actions のワークフローの記述

#

GitHub リポジトリの Settings タブ - Security - Secrets の Actions を選択して、「New repository secret」ボタンをクリックします。

この例では、Name を「AWS_ROLE_ARN」と入力し、Secret に 2 で作成したロールの ARN を設定して「Add secret」ボタンをクリックします。

ここまでで AWS の認証情報が取得可能かを確認するワークフローは次のようになります。

name: example

on:
  push:
    branches: [ main ]

permissions:
  id-token: write

jobs:
  build:
    runs-on: ubuntu-latest
    steps:
      - name: Git clone the repository
        uses: actions/checkout@v3
      - name: configure aws credentials
        id: credentials
        uses: aws-actions/configure-aws-credentials@v1
        with:
          role-to-assume: ${{ secrets.AWS_ROLE_ARN }}
          aws-region: "ap-northeast-3"

認証情報 (Credentials) が取得できれば、このワークフローが成功します。

GitHub Actions ワークフローで AWS アカウント ID を受け渡す

#

例えば、Spring Boot アプリケーションの application.yml 等に AWS アカウント ID を含む ARN を設定したい場合、設定ファイルをテンプレート化し、ステップで出力された情報をテンプレートエンジンを使用することで AWS アカウント ID を直接扱わずに設定ファイルを生成できます。

例として次のようなテンプレートファイル (templates/example.yaml) を記述してみます。

aws:
  AWS_ACCOUNT_ID: {{ ENV }}

テンプレートの記述言語は「mustache (口髭)」です。置換する部分の {{}} が口髭の形に似ていることから命名されているそうです。

このテンプレートファイルを処理するワークフローは次のようになります。

name: example

on:
  push:
    branches: [ main ]

permissions:
  id-token: write

jobs:
  build:
    runs-on: ubuntu-latest
    steps:
      - name: Git clone the repository
        uses: actions/checkout@v3
      - name: configure aws credentials
        id: credentials
        uses: aws-actions/configure-aws-credentials@v1
        with:
          role-to-assume: ${{ secrets.AWS_ROLE_ARN }}
          aws-region: "ap-northeast-3"
      - uses: edgardleal/mustache-template-action@v1.0.4
        env:
          ENV: ${{ steps.credentials.outputs.aws-account-id }}
        with:
          input: templates/example.yaml
          output: example.yaml 

ここでは、テンプレートエンジンのアクションに mustache-template-action を使用しました。
テンプレートは、このアクションへの環境変数の値で置換されて、output に指定されたパスのファイルが生成されます。

アクションの出力 (OUTPUT) について

#

ここで AWS Actions の configure-aws-credentials を題材に GitHub Actions をもう少し詳しく説明します。

上記のワークフローにある ${{ steps.credentials.outputs.aws-account-id }} についてです。

GitHub Actions ではフローの実行結果の状態 (STATE) や出力 (OUTPUT) を他のフローに連携できます。
つまり、上の例のように id: credentials フローの出力を steps.credentials.outputs のプレフィックスと aws-account-id のキーで取得できます。

Information

状態や出力は、それぞれ save-stateset-output コマンドが使用されてきました。
これらは「GitHub Actions: Deprecating save-state and set-output commands」に書かれている通り最近非推奨となりました。
それぞれ GITHUB_STATE 環境変数に設定されたファイルへの追記、GITHUB_OUTPUT 環境変数に設定されたファイルへの追記に変更することが要求されています。

アクションそれぞれがどのような値を出力しているかは、アクションのリポジトリ内のファイル action.yml に書かれています。

configure-aws-credentials では、action.yml の次の部分が該当します。

outputs:
  aws-account-id:
    description: 'The AWS account ID for the provided credentials'

シーケンス図

#
sequenceDiagram
    Workflow ->> GitHub Repository: clone
    Workflow ->> configure-aws-credentials: credentials
    configure-aws-credentials ->> GitHub ID プロバイダ: getIDToken
    GitHub ID プロバイダ ->> configure-aws-credentials: OpenID Connect ID Token
    configure-aws-credentials ->> AWS STS: assume-role-with-web-identity
    AWS STS ->> configure-aws-credentials: AWS Credentials
    configure-aws-credentials ->> Workflow: AWS Credentials
    Workflow ->> mustache: AWS アカウント ID
    mustache ->> mustache: templates/example.yaml から example.yaml を生成

まとめ

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GitHub ID プロバイダから発行される ID Token を AWS の IAM 外部プロバイダとして使用することで、AWS のクレデンシャルを直接指定する必要は無くなり、誤って公開されるリスクが大きく減少しました。本記事では、さらに AWS アカウント ID も直接指定しない方法を紹介しました。

この記事のコードサンプルは、GitHub リポジトリ にあります。

参考

#

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