アジャイル開発現場におけるTips:黄金体験レア版
はじめに
#中佐藤です。今回のTipsは生まれた背景の説明がちょっと長くなります。そのため、それは後で説明するとして。
ひとことで言うと、チームの結成時や、お互いによく知らない人達の集まりで、アイスブレイクに使えるかもと思う方法です。
経緯
#きっかけはアジャイルコーチとスクラムマスターの集いというイベントです。これ1回目が2019年で、この時にいくつかのボードゲームを持ち込んでくれた方がいて、その中のひとつが黄金体験でした。これが楽しかった。その思い出があって、次はちょっと形を変えてできないかなと思っていました。
で、今回やってみました。試してみたかったことができ、こうするといいということにも気付けたので、その内容をご紹介します。
やったこと
#まずは前回のことを共有し、今回やりたいことを説明しました。その後、以下のように進めました。
- 参加者に「自分のこれまでの体験でレアだと思うこと/他の人はあまり体験してないだろうと思うこと」を大きな付箋に書いてもらいます
- 参加者の中で誰の体験をネタにするかを決めます
- 対象のネタを持っている人以外の人が「質問する人」と「ネタをあてる人」に分かれます
- ネタの人が自分の書いた体験を質問する人にだけ見せます
- 質問する人はネタの人に対していろいろと質問をします。「これ、いつのことですか」「きっかけは」みたいな感じです
- そのやり取りを聞きながら、ネタをあてる人が「こういう体験?」と思いつくものを出していきます
- 正解にたどり着いたら、2に戻ります
ふりかえり
#まずは、楽しかったです。これは初めにやったほうがいいだろうと思って、1日目初っ端に実施したのですが、楽しかったです、と参加者に後からも言ってもらえました。その上で、考えていなかった点も出てきました。
まず大きな付箋に大きな文字で書いてもらったら、うっかりすると見えてしまいそうになる、ということに気付きました。「これ、見えますね。離れて書きましょう」とか、自分の書いた付箋を見えないように持つとか、気を遣う必要はありました。
小さい付箋のほうがよかったかなとも思ったのですが、対象のレア体験を書いた付箋は質問する人が結構見直します。その時には大きいほうが見やすそうです(一応、みなさん、他の人と距離を取ることには気をつけていたので)。
これに関係して、質問する人は質問を考える時にその付箋を再度見たくなるんだな、というのも学びでした。最初に見たら覚えていそうなものですが、レア体験であるがゆえに、うまく合致する言葉を探すために見直したくなるんですね。
うっかりすると見えてしまうことに関連して、「質問する人」と「ネタをあてる人」の席替えが自然に起こっていました。そのたびに適当に役割を変えていたのですが、同じ役割の人が近くにいたほうが、やりやすいようです。
一番頭を使うのは、質問する人ですね。いかにいい質問をするか、頭を悩ませます。それも時間の経過によって、どれだけ直接的な言葉を使うか、変えていく。「さっきこの単語が出たから、これはもう言ってもいいと思うんですが」みたいなことが結構ありました。
実施前に一番懸念していたのが、全く当たらないまま時間が経過して、つまらなくなることだったのですが、意外とひとネタがいい感じの時間で収まりました。大体5分くらい。今回はめっちゃ時間かかったなと思っても10分以内に収まっていました。結果、参加者全員(私を含め7名)のレア体験披露が1時間におさまりました。
元の黄金体験では、「正解駒」と「回答駒」の距離でどれくらい正解に近づいたかを表現します。これが言葉で自然に行われていました。その回答はいい方向ですとか、ちょっと離れました、とか。この導きと、質問する人が質問の仕方をうまく変えていくことで、ちょうどいい感じの難易度と時間になった気がします。
また「正解かどうか」を判定するのは、対象のレア体験の人と決めてしまったほうがよさそうです。個人体験であるがゆえにそれで正解とするかどうかは、その人の感覚にゆだねます。
みなさんのチームでは
#おもしろそうと思っていただけたら、ぜひみなさんのチームでもやってみてください。特大付箋の代わりにA4用紙でもいけると思います。ただ、見えてしまうと残念なので、裏映りには注意してください。
オンラインでも十分できますね。レア体験をどこに書いて、どう共有するかはちょっと考えましょう。悪気なくてもうっかり見えてしまったら台無しです。
また、今回は「質問する人」と「ネタをあてる人」を席で分けていましたが、オンラインだとどうするかも考えておいたほうがいいでしょう。
謝辞
#今回のトライアルにお付き合いいただいた6名のみなさま、ありがとうございます。
すばらしい場と特大付箋を惜しげもなく提供してくれた主催のアトラクタさま、ありがとうございます。