AIとMarpで実現するエンジニアらしいプレゼン作成術
Back to Topはじめに
#アジャイルグループの石田です。
先日、3月24日に開催された豆寄席「スクラムマスターのAI活用を考える 〜透明性・検査・適応 三本柱を強化する実践アプローチ〜」に登壇しました。第50回という節目のイベントに想定以上の多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。改めて、スクラムマスターとAIという組み合わせの注目度の高さを感じました。
発表では、スクラムマスターがAIをどう活用できるかをメインテーマにお話ししましたが、その中でAIを使ったプレゼンテーション作成についても触れました。今回はその内容をより詳しくご紹介します。
プレゼン作成に使えるテンプレートリポジトリをGitHubで公開しました。細かい使い方はリポジトリのREADMEをご参照ください。この記事では「AIでプレゼンを作ることのメリット」と「テンプレートの特徴」を中心にお伝えします。
AIでプレゼンを作るとはどういうことか
#従来のプレゼン作成の課題
#プレゼン資料の作成は、意外と時間がかかります。大まかな流れを整理すると、次のようなステップを踏むことが多いのではないでしょうか。
- 伝えたいことを整理し、構成を考える
- 各スライドの内容を起こす
- PowerPoint や Keynote でレイアウト・デザインを整える
- 見直し・修正を繰り返す
このうち、特に 「1. 構成を考える」 と 「3. デザインを整える」 に時間を取られがちです。構成はゼロから考えると手が止まりやすく、デザインは凝り始めるとキリがありません。
AIが変えること
#生成AIを活用すると、上記の課題を次のように解消できます。
- 構成案の生成:「○○について発表したい」という要件を渡すだけで、章立てやアウトラインを提案してもらえます
- スライドテキストのドラフト生成:構成が決まれば、各スライドの本文もAIに任せることができます
- 仕様書・要件からの変換:仕様書や議事録など既存のドキュメントをインプットとして与え、プレゼン向けに要約・再構成させることも可能です
さらに重要なポイントとして、文字生成を得意とするAIはMarkdownと相性がよく、スライドをMarkdownで書くことでコンテンツ生成・修正を自然な会話の延長で依頼できます。PowerPoint のようにバイナリファイルを直接操作する必要がなく、差分管理もしやすくなります。
テンプレートリポジトリの紹介
#mamezou-presentation は、Marp + GitHub Actions + GitHub Pages を組み合わせた豆蔵向けのプレゼンテンプレートです。MIT Licenseで公開しているため、社外の方も自由に利用・改変いただけます。
リポジトリの主な構成
#mamezou-presentation/
├── presentation/
│ ├── 01_intro.md # スライド(数字順に結合される)
│ ├── 02_main.md
│ └── ...
├── images/
│ └── title.svg # タイトルスライド用画像
├── mamezou-theme.css # 豆蔵ブランド テーマ(紫系)
└── .github/workflows/ # 自動ビルド・デプロイ設定
スライドは presentation/NN_name.md の形式で分割して管理し、数字順に結合されます。1ファイルに全スライドを詰め込む必要がないため、セクションごとにファイルを分けて管理しやすくなっています。
テンプレートの特徴
#Push するだけで公開される
#このテンプレート最大の特長は、mainブランチにプッシュするだけでHTML/PDFが自動生成され、GitHub Pagesに公開されることです。
「ビルドコマンドどうやるんだっけ」「PDFに書き出すにはどうすればいい」といった手順を覚える必要がありません。Markdownを書いてpushするだけで、発表用の成果物が自動的に用意されます。
git add presentation/01_intro.md
git commit -m "スライド追加"
git push origin main
# → GitHub Actions が起動し、HTML/PDF を自動生成・公開
VS Code + Marp 拡張でリアルタイムプレビュー
#ローカル開発では、VS Code の Marp for VS Code 拡張を使うことで、Markdownを編集しながらスライドをリアルタイムにプレビューできます。「書く → 確認 → 修正」のサイクルが素早く回せます。
AIワークフローとの統合(GitHub Spec Kit)
#このテンプレートは、GitHub Spec Kit を介したAIワークフローに対応しています。Gemini CLI や Claude Code と連携し、次のコマンドでスライド作成をAI主導で進められます。
| コマンド | 内容 |
|---|---|
/speckit.specify |
発表内容の仕様(何を伝えるか)をAIと一緒に整理する |
/speckit.plan |
仕様をもとにスライド構成案を生成する |
/speckit.tasks |
各スライドの作成タスクに分解する |
「何を話すか」を仕様として書き出せば、AIがスライドの骨格を提案してくれます。人間はレビューと肉付けに集中できるため、質の高いプレゼンをより短時間で仕上げられます。
また、Spec Kit の Constitution(規約・制限) を活用することで、AIが生成するテキストのトーンやスタイルを統一できます。Constitutionとしてルールを定義しておくことで、複数のスライドにわたって一貫した文体が保たれます。たとえばこのテンプレートでは次のようなルールを定義しています。
- スライド本文の口調は「だ・である」調(常体)で統一する(導入部は「です・ます」調も可)
- 強調には鉤括弧(「」)を避け、HTMLの
<strong>タグを使用する
図表の自動変換(Mermaid → PNG)
#Mermaid形式(.mmd)のファイルをリポジトリに置くと、GitHub Actions が自動的にPNGへ変換し、スライドに埋め込めるようになります。
graph LR
A[仕様を書く] --> B[AIが構成提案]
B --> C[Markdownで執筆]
C --> D[Push]
D --> E[自動ビルド・公開]テキストベースで図を管理できるため、バージョン管理との相性も抜群です。
プレゼンターモード・タイマー機能
#発表本番を支援する機能も備えています。
- プレゼンターモード: ブラウザで
pキーを押すと、スピーカーノート付きのプレゼンターモードに切り替わります - カウントダウンタイマー: 発表時間を管理するタイマーアプリをAIを活用して作成しており、アジェンダとともにカスタマイズ可能です
- JavaScriptによる拡張: プレゼン資料はHTMLベースのため、JavaScriptを組み込むことで各章へのショートカットを作成するなど、自由度の高いカスタマイズが可能です
AIでプレゼンを作るメリットまとめ
#ここまでの内容を整理すると、AIを活用したプレゼン作成には次のメリットがあります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| スピード | 構成案やドラフトをAIが生成するため、立ち上がりが速い |
| 品質 | 抜け漏れの少ない構成をAIが提案してくれる |
| 一貫性 | テンプレートにより毎回同じクオリティのデザインが保たれる |
| 再現性 | Markdownなのでバージョン管理・差分確認が容易 |
| 集中力 | デザインではなく「何を伝えるか」に集中できる |
特に「集中できる」という点は体感として大きく、AIとテンプレートによってデザインの迷いがなくなると、コンテンツの質に意識を向けやすくなります。
おわりに
#今回は豆寄席での発表をきっかけに、AIを使ったプレゼンテーション作成の取り組みをご紹介しました。
テンプレートリポジトリはMIT Licenseで公開していますので、豆蔵社外の方も自由にご利用・ご改変いただけます。
「試してみたい」「こんな機能があると嬉しい」といったフィードバックや質問は、GitHubのIssueにてお気軽にどうぞ。AIとMarkdownでのプレゼン作成、ぜひ一度お試しください。
