形骸化しない定例会議の進め方|デキるPMの7つの改善ステップ

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はじめに

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「定例会議がうまくいかない」「課題が共有されない」と感じたことはありませんか?

本記事では、 定例会議が形骸化する原因と、その進め方を改善する具体的な方法(7ステップ) を解説します。
プロジェクト管理やPMに関わる方が、実務にすぐ活かせるノウハウが満載です。

定例会議は本来、プロジェクトの状況を正しく共有する場です。
課題に向き合い、解決策を合意する目的もあります。
しかし現場では、単なる進捗報告の“儀式”と化し、課題が置き去りにされてしまうケースが少なくありません。

定例会議の本来の目的は?プロジェクトを前進させる3つの要素

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定例会議の目的は、進捗を詰めることではなく、次の3点にあります。

  • 共通認識の形成:チーム内の情報格差をなくし、方向性をそろえること
  • 課題の明確化と共有:リスクやボトルネックを早期に発見し、対応策を検討すること
  • 意思決定とアクション:次の打ち手と責任者を明確にし、動ける状態にすること

ただの報告会で終わらせず、課題に対する具体的な対応策を合意し、次のアクションに繋げることが重要です。

加えて、定例会議は「計画からの逸脱を早期に捉え、戻すための場」としても機能します。
不確実性の高いプロジェクトでは、何が道を外れさせるのかを早期に捉える必要があります。
その障害への対処法を考え、具体的なアクションに落とし込むことが成功の鍵です。

定例会議が形骸化しているサイン5選|機能不全に気づくチェックポイント

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多くのプロジェクトで、定例会議や週次会議が単なる形式的なルーチンや惰性で続けられる状態に陥り、本来の課題解決や意思決定の場として機能しなくなるケースが見受けられます。

1. 「報告会」で終わる定例会議に要注意

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  • 同じ進捗報告が繰り返され、具体的な議論が生まれない
  • 全員が順番に報告するだけのミーティングとなり、プロジェクトを前進させる役には立っていない

2. 会話がなく一方通行

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  • 発表→「はい」→次へ…という流れだけで、フィードバックや質疑がない
  • 定例会議の目的や論点が不明確で、議論が深まらない

3. 定例会議が連続性を持たない

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  • 前回の決定事項やフォローアップが、次回以降にきちんとつながっていない
  • 議論とアクションが積み重ならず、定例会議が“前に進むエンジン”として機能しない

4. 課題の優先度・担当・対応策が不明確

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  • 課題リストに優先順位や期限がなく、着手すべき順番が見えない
  • 誰が対応するのか決まっていないため、進捗が停滞する

5. リスクを認識しているだけで終わる

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  • リスクはリスト化されているが、対策やリソースの割り当てが行われていない
  • 発生時の影響を抑える対策が検討されていない

事例:進捗報告の“儀式化”からの脱却

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あるプロジェクトでは、定例会議が毎週同じ「進捗未達の言い訳」の繰り返しになっていました。
報告はあるものの、議論には発展せず、課題は置き去りにされていました。
議事録にも「検討中」という言葉が並ぶばかりでした。

私はそこでこう問いかけました。

「進まない理由と、どうすれば進むかを話しませんか?」

この一言で空気が変わり、プロジェクトのボトルネックが浮き彫りになりました。
定例会議は反省会ではなく、次に進むための“アクション設計の場”であるべきです。

定例会議の形骸化を防ぐための7つの改善ステップ

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1. アジェンダは「課題ドリブン」で構成する

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  • アジェンダは「今週の課題・懸念・意思決定事項」に絞る
  • 進捗報告は事前に共有し、定例会議中は課題解決に集中する

課題リストには「発生時期」「担当」「優先度」「対応策」を具体的に記載します。
曖昧なリストは議論を浅くします。

タスクリストは「開始日超過・期日間近・期限超過」の3分類で整理すると効果的です。
タスクの未着手は、遅延の主因です。
「開始の遅れ」に注目すれば停滞を防げます。

実務では、「完了予定」より「着手予定」を重視するほうが、課題の早期発見につながります。

2. 定例会議冒頭で「目的」を明示する

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  • 定例会議の冒頭で「今日決めたいこと」「合意したい論点」を共有する
  • 納期を守るために、問題と課題を整理し、アクションを明確にする場と位置づける

ファシリテーションの技術を活用し、プロジェクト会議を活性化させることが、形骸化したミーティングの再生に欠かせません。

【補足】空中戦を避ける“テキスト化”の徹底

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空中戦(口頭だけの議論)を避けるには、テキストでの情報共有が不可欠です。
資料・ホワイトボード・共有ドキュメントなど、全員が「同じものを見る」状態を意図的に作ることが、誤解を防ぎ、議論を建設的にします。

ファシリテーターは、定例会議の冒頭でアジェンダや目的を共有するだけでなく、必要に応じて定例会議中にリアルタイムで可視化することを心がけましょう。
特にリモート会議では、議事録をリアルタイムで画面共有することで、参加者全員が議論の内容を即座に確認でき、理解のズレや認識のばらつきを防げます。

「声の大きい人の印象だけが残る定例会議」ではなく、「合意したこと・迷ったこと・次に検討すること」がテキストで残る定例会議が、信頼と連続性を生み出します。

3. テンポよく、時間配分にメリハリをつける

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  • 開始・終了時間を厳守し、各トピックにタイムボックスを設ける
  • 逐次的な進捗報告に時間をかけず、重要な論点に集中する

4. 決定事項とToDoをその場で共有する

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  • 定例会議中に「何を・誰が・いつまでにやるか」を明確にし、議事録に即時記録する
  • 曖昧な「対応中」「検討中」で終わらせない

課題やリスクへの対応が曖昧だと問題が繰り返されます。
課題やリスクへは種類別に整理し、ツール(例:Redmine)で管理・追跡しましょう。
議事録に決定事項と具体的なタスクを明記し、進捗管理ツールと連携させることで、意思決定の透明性を高めましょう。

5. 次回定例への「伏線」を置く

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  • 定例会議の最後に「次回扱う論点」や「準備しておくこと」を簡潔に伝える
  • 定例会議を単発のイベントではなく、継続する改善サイクルと捉える

スプリントやマイルストーンに向けて逆算し、事前に障害を共有すれば、予防的な対応がとれます。

6. 課題・リスクには「優先度」と「担当」を必ずセットで記載する

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  • 担当者が不明確で、優先順位がついていない課題は後回しになりやすい
  • 誰が何を担当するのかを明示し、フォローしやすくする

7. キーパーソンの出席を“当たり前”にする働きかけ

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  • 定例会議に欠かせないキーパーソンの不在が続くと、重要な意思決定が保留となり、仕様があいまいなまま進んでしまうリスクが高まります。
  • キーパーソンの出席率が低い背景には、定例会議の目的が不明確であったり、関係のない話題に時間が割かれていたりすることがあります。
  • 定例会議の目的・対象者・期待するアクションを整理し、キーパーソンの関与が必須であることを具体的に伝える必要があります。

「〇〇さんがいないところで仕様が決まってしまっていますが、本当にそれで大丈夫ですか?」
「今、方向を修正しないとプロジェクトが危ない。だから、次の定例会議には絶対出てください」

このように、具体的な背景と必要性をもって直接お願いすることで、相手の行動が変わることもあります。
定例会議前にキーパーソンと個別にすり合わせ、定例会議の段取りを共有しておくのも有効です。

定例会議が形骸化してないかセルフチェック8選

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ひとつ前の章の「実践術」は“どう進めるか”に焦点を当てていました。
ここでは、“定例会議はうまく機能しているか”を見直す視点を紹介します。
定例会議が形骸化していないか、実際の場面に照らしてセルフチェックの参考にしてください。

1. 課題が出てこないのはなぜ

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  • 見えていないだけの可能性がある。「なぜ課題がないのか」を確認する
  • 「今は特にありません」が続く場合は、課題が言語化されていないだけかもしれない
  • 課題がない理由だけでなく、「今後起きそうな懸念」にも目を向けることで、見落とされていたリスクが浮かび上がります。

2. ファシリ交代が生む新たな視点

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  • 若手や非リーダーにも進行役を任せて、定例会議の視点を多様化する
  • 同じ人が仕切り続けると、報告パターンが固定化しやすい
  • ファシリテーター交代で新たな論点や課題が見えてくる

3. 振り返りが定例会議を育てる

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  • 「この定例会議はどうだったか」を定例の最後にふりかえる
  • 改善点を共有し、次回の進め方をチームで調整する

4. 成果共有で定例会議に手応えを

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  • 「この定例会議で何が決まり、何が進んだのか」を確認する
  • 達成感が可視化されると、チームのモチベーションや目的意識も高まる

5. 議事録で行動を加速させる

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  • その場で記録を共有し、曖昧な点は即時に修正する
  • ToDoや決定事項を明文化して、定例会議の効果を可視化する

6. サイレントメンバーの意見を拾う

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  • サイレントメンバーの声には、課題発見のヒントがある
  • 発言が少ない人こそ、潜在的な気づきを持っていることが多い
  • 「~についてどう思う」と具体的に問うことで、隠れた課題が表出する

7. KPIより「行動ベースの結果」へ

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  • 「やるべきことが実行されたか」で定例会議の効果を測定する
  • 未着手率や対応遅延率など、“実行されていないアクションの割合”に注目する
  • 定量的なKPIだけでなく、行動ベースでの確認が本質的な改善につながる

8. 着手されないタスクに着目する

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  • タスクの未着手は、遅延の本質的な原因となる
  • 期日よりも「着手の遅れ」に注目することで、停滞を予防できる
  • タスクリストを「開始日超過」「期日間近」「期限超過」の3分類で整理すると効果的

まとめ|形骸化を防ぎ定例会議を推進力に変えるには

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定例会議は、計画から逸脱した現実を捉え、修正と前進の方針を描くための「ナビゲーションの場」です。
報告会で終わらせず、本質的な議論と合意形成の場として運用すれば、プロジェクトは確実に前進していきます。

「形骸化しているかも」と感じたら、今日からひとつでも改善を。
あなたの定例会議が“動き出す”きっかけになることを願っています。

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