オンライン研修の設計勘所(その3:学習の見える化)

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はじめに

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半年ほど空いてしまいましたが前回は学びを促進するストーリー展開に関して記載いたしました。

オンライン研修の設計勘所(その2:学びを促進するストーリー展開)

今回は「学習の見える化」について記載いたします。

オンライン研修になって、講師や受講生から以下のような声を聞いたことはないでしょうか。

  • 【講師】受講者の反応(理解度や演習の手の進み)が読みづらい

  • 【受講者】他受講者や他グループの活動が見えない

旧来の集合研修であれば1つの教室に集まり全員が目の届く範囲で学習活動をするため、こういった声は少なかったと思います。

新型コロナの影響によりオンライン研修に以降し、講師も受講生も見える範囲がディスプレイ越しの限定された範囲となってしまいました。

こういった声の原因は、旧来の集合研修で利用していた教材や演習実施方法をなるべくそのままオンライン研修へ移植したことにあると私は考えます。

旧来の教材・演習実施方法のままでは、ディスプレイ越しの視界に制限されたオンライン研修において本来見たい学習活動が見えなくなってしまったのです。

ここで大切なことは、オンライン研修環境の特性を理解し上手に活用することで、旧来の教室に全員が集まって実施する研修スタイルよりも学習活動をつぶさに見ることができるようになると感触を得ています。

以降でオンライン研修環境における学習の見える化の設計について3点触れていきます。

ディスカッションの見える化

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グループに分かれてのディスカッションも集合研修であれば全体を一望でき、どのグループが活発に話し合っているかや、グループに近づき受講者の発言内容に耳を傾ければ理解度合いを把握できました。また、グループとグループの間に立ち位置を確保すれば、同時に2,3グループの状況を把握できました。

しかし、オンライン研修になりグループに分かれるというとメンバーがブレークアウトルーム(小分けの会議室)に移動し、それぞれのブレークアウト内でディスカッションをすることになります。これにより講師がグループ活動を把握しようとすると各グループのブレークアウトルームに順番に入り、1グループに絞りディスカッションを聞き理解度を把握することになります。

これでは、全体のディスカッションの活性度合いや各グループのディスカッション内容を聞いての理解度合いの把握が限定的になってしまいます。

この課題を解消するために、オンライン研修を前提に研修設計時点で理解度把握・活性度合い把握を目的としてディスカッションの実施方法に一工夫を入れ込みます。

対策としてオンラインのコラボレーションツールを上手に使いディスカッションを見える化することが一つの手法になります。

例えば、Google Workspace の JamboardMiro のような共同編集ができるオンラインホワイトボードをグループ毎に準備をし、ディスカッション最中に話あっている内容をリアルタイムでアウトプットしてもらうことでグループ活動の活性度や進捗を把握できます。

更に、この手法であればブレークアウトルームに入らなくてもブラウザー上に各グループのホワイトボードを表示しておけば全グループの活動状況を把握できます。

ジャムボードの例
↑実研修ではブラウザーのタブ表示に並べてタブを切り替えて各グループの活動を確認する。

また、ホワイトボードにアウトプットされた内容を見ることで理解度の把握もできますし、なにより成果物として残るので講師からのフィードバックや振り返りにも活用できます。

演習進捗の見える化

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集合研修であれば、受講者の手元や演習で利用しているPCのディスプレイを覗き込めばすぐに手の動き・進捗を把握できます。

オンライン研修では、受講者の手元を覗き込むことは出来ませんので手の動きは把握できません。また、受講者がオンラインで画面共有又はドキュメントなどの共有をしなければ、演習の進み具合いを把握できません。

では、オンライン研修において手の進み・演習の進捗を知るためにはどうしたらいいのでしょうか。

お手軽な方法は、演習中に画面を共有してもらうことです。

zoom であれば、複数人が同時に画面共有をできます。講師は見たい受講者を選択すれば共有された画面を見て演習の進め具合を把握できます。

また、教材設計の段階で演習の進め方をスモールステップに刻んでおき、そのスモールステップ毎に進捗を共有エクセルやスプレッドシートに記録してもらうと、演習の進捗を教室全体で把握できます。

演習進捗表の例

旧来の集合研修時よりも、演習進捗はより細かく把握できるようになった感覚があります。

グループ間評価による見える化

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グループワーク後に他グループの発表を聞いて回るという事を旧来の集合研修で実施されていたことを覚えている方も多いかもしれません。

この手法は自分たちのグループでは考えられなかった点を他グループの成果の中に発見をしたり、自グループと他グループが同じ考えであることから考えの正しさを確認することが出来ます。

オンライン研修ではグループ間交流の手法を更に拡張して学びを加速させることができます。

オンラインの場合、他グループのブレークアウトルームに移動して他グループの話を聞くという手法の以外に、自グループのブレークアウトルームで他グループの成果物を画面共有し、その成果物をネタに自グループ内でディスカッション(自グループと同じ箇所を探すや異なる箇所を探す。差異はなにかを話合う)が集合研修時と比較して簡単に実践可能です。

ディスカッション内容を他グループの成果物内に記録(差異の印やメモ)として残すことで他グループに対してフィードバックもできます。

グループ間評価

おわりに

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オンライン研修においても演習設計・運営しだいでは、受講者の様子を十分に把握できます。

その為には、ツール(ビデオ会議システムやオンラインドキュメント)の使い方を熟知したうえで演習を設計する必要があります。


参考文献

  1. James.M.Lang(2021) Small Teaching:Everyday Lessons from the Science of Learning

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