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OrbStack - macOS 専用の高速軽量なコンテナ & Linux VM 環境

| 6 min read
Author: masahiro-kondo masahiro-kondoの画像

OrbStack とは

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OrbStack は macOS 専用の高速で軽量なコンテナ環境と Linux VM 環境です。

OrbStack · Fast, light, simple Docker & Linux on macOS

以下のような特徴が謳われています。

  • 超高速: 2秒で起動し、最適化されたネットワークとディスク、Rosetta による x86 エミュレーション
  • 超軽量: CPU とディスク使用率が低く、少ないメモリで動作。Swift によるネイティブアプリなのでバッテリーにも優しい
  • 超シンプル: セットアップが最小限、macOS と VM 双方向の CLI 統合とファイルアクセス、VPN サポート、VS Code Remote 機能サポート、SSH agent 機能
  • 超強力: Docker コンテナと完全な Linux ディストリビューションをシームレスに実行、Kubernetes も近い将来サポート予定、メニューバーからアプリを開いてコンテナを管理可能

3月23日に public beta のアナウンスがありました。

🚀 Introducing OrbStack
A new way to run Docker & Linux on macOS

⚡️ Fast: Starts instantly, fast network, Rosetta
💨 Light: 0.1% CPU, native Mac app
🍰 Simple: Seamless integration, easy UI
🔨 Powerful: Supercharged WSL + Docker Desktop
Try it out 👇
orbstack.dev

https://twitter.com/kdrag0n/status/1638917691036803073

公式ドキュメントは以下です。

What is OrbStack? · OrbStack Docs

他の環境(Docker Desktop、Colima、UTM[1])との比較がドキュメント内にあります。ユースケース、パフォーマンス、効率、使いやすさ、ネットワーク、Docker と Linux のサポートの観点から比較されています。かなり自信満々な比較表となっています。

Information

Beta 期間は無料で利用できますが、正式公開後は有料化が予定されています。

Is OrbStack free? | Frequently asked questions · OrbStack Docs

(個人使用とビジネス使用、サブスクリプションと永久ライセンス、価格設定、OSS と学生割引など) についてはまだ検討中であり、発売が近づき次第、より多くの情報を共有する予定です。
価格やライセンスについてアイデアがありましたら、お知らせください。私たちは、OrbStack が誰でもアクセスできるようにしながら、持続可能で収益性を確保したいと考えており、それにはコストが大きな役割を果たす可能性があることを理解しています。
私たちは、OrbStack のパフォーマンス、速度、信頼性、シンプルさ、潜在的なコスト削減により、価格に見合う価値があることを期待しています。
(Google 翻訳)

サブスクリプションか永久ライセンスかについても検討中のようです。IntelliJ のような年間サブスクリプションになる可能性もありそうです。

2023.09.25追記

OrbStack v1.0 がリリースされました。Free プランと Pro プランがあり、Pro プランは月額10ドル(年払いだと20%オフ)となっています。Free プランは個人の非商用利用に限ります。

Pricing · OrbStack

OrbStack に追加された Kubernetes 機能については別途記事を書きました。

OrbStack 1.0 付属の Kubernetes を試す

インストール

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以下のページから Apple Silicon 版をダウンロードしてインストールしました。

Download OrbStack · Fast, light, simple Docker & Linux on macOS

バージョンダイアログを確認したところ、0.12.0 (1771) でした。

version

起動するとダイアログが開くので Next をクリックします。

Welcome dialog

Docker か Linux かどちらを起動するかを選択する画面がでます。Docker を選択しました。Linux の利用も後でできます。

Docker / Linux

Docker の利用

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Docker 環境が起動するので、試運転で Getting started with an example で表示されているコマンドを入力しました。

docker run -it -p 80:80 docker/getting-started

localhost をブラウザで開くと Docker のチュートリアルドキュメントが表示されます。Containers タブに実行中のコンテナが表示されています。

Containers

コンテナイメージのビルドも問題なくできました。OrbStack ではコンテナのビルドに BuildKit を利用して高速なビルドを実現しているそうです。

Kubernetes は未提供ですが、別途 kind 起動するとちゃんと使えました。

$ kind create cluster
Creating cluster "kind" ...
 ✓ Ensuring node image (kindest/node:v1.27.1) 🖼 
 ✓ Preparing nodes 📦  
 ✓ Writing configuration 📜 
 ✓ Starting control-plane 🕹️ 
 ✓ Installing CNI 🔌 
 ✓ Installing StorageClass 💾 
Set kubectl context to "kind-kind"
You can now use your cluster with:

kubectl cluster-info --context kind-kind

Docker の利用方法についてはドキュメントの以下の章にありますが、Docker Desktop などに慣れていれば問題なく使えるでしょう。

Docker · OrbStack Docs

OrbStack の Docker ネットワーク機能

Docker Desktop ではホストの macOS で動作するサービスへの接続には host.docker.internal というドメインを利用しますが、OrbStack では host.internal というドメインになります。

Connecting to servers on Mac | Docker networking · OrbStack Docs

--net=host オプションで起動すると、Host networking モードになり、ポートフォワーディングせずにコンテナで実行しているアプリに localhost で接続でき、コンテナからホストへの接続も host.internal ではなく localhost で可能になります。

docker run -it --rm --net=host nginx

Host networking | Docker networking · OrbStack Docs

Linux machine

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次に Linux の VM を使ってみます。

Machines タブの New Machine をクリックします。

New Machine

マシン名、Linux ディストリビューションとバージョン、CPU type を指定します。Ubuntu 22.04 LTS の Intel CPU 版を指定してみました。

Ubuntu intel

Creating 状態になります。

Creating

数分で起動しました。ディストリビューションはダウンロードしていると思うので、GUI がないとしてもかなり短時間です。

Running

Information

マシンの CPU やメモリサイズなどのスペックを決めて作成するオプションは今のところなさそうです。

起動されたマシンでは、8GB 程度のメモリになっていました。

$ free -h
               total        used        free      shared  buff/cache   available
Mem:           7.8Gi       529Mi       1.1Gi       0.0Ki       6.1Gi       6.9Gi
Swap:          9.8Gi          0B       9.8Gi

CPU に関してはホストマシンのコア数がそのまま表示されました。Docker Desktop などが論理 CPU 数を指定させるのに対して、macOS と共有しているようです。WSL と同様の実行モデルです。(ファイルシステムもシームレスに使えますし)。

ドキュメントにアーキテクチャの解説があります。やはり従来型の完全な VM ではなく軽量 VM として実装されているようです。
Architecture · OrbStack Docs

起動した VM に入るには以下のように SSH を利用します。

ssh orb

デフォルトのマシンに SSH 接続できます。もちろんマシン名を指定して接続も可能です。VS Code の Remote - SSH 拡張も使えます。

SSH access · OrbStack Docs

Mac の ファイルシステムも macOS と同じパスでアクセスできます。

File sharing · OrbStack Docs

Linux VM で起動している API についてはポートフォワーディング不要で localhost で接続できます。

Running servers | Linux networking · OrbStack Docs

Express で簡単なサーバーを作って試しましたが確かに localhost で接続できました。

Information

GUI や Linux デスクトップを使う機能は未提供です。利用したい場合、XQuartz のような X11 サーバや Xrdp のようなリモートデスクトップのソフトウェアを使う必要があります。

Graphical apps | Linux machines · OrbStack Docs

今回は Intel CPU で起動しましたので Rosetta が頑張っていると思いますが、非常に軽快に動作します。

VirtualBox などの Apple Silicon 対応に時間がかかっているため、M1 Mac にスイッチしてから仮想マシンをローカルで使わなくなっていました。ですが、やはり使えると色々便利です。本物の Linux での動作確認や普段使っていないバージョンの開発環境を試すなどが気軽にできますね。

Information

コマンドのチートシートが、Commands タブにあります。ドキュメントをいちいち確認しなくてもいいので便利ですね。

Command cheat sheat

Commands · OrbStack Docs

リソース使用状況

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コンテナや Linux VM でワークロードがない状態(ただ起動させているだけの状態)で、CPU 利用率はM1 Mac で0.1%前後と非常に低い値になるとのことです。実際、アクティビティモニタで OrbStack がトップに来ることはほぼなく、検索しないと見つからないぐらいです。Docker Desktop や Minikube だと起動しているだけでリソースを使用し続けるので、OrbStack はかなり軽量なプロセスであると言えるでしょう。

CPU

Memory

最後に

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以上、OrbStack をインストールして試してみました。宣伝通り軽量で使いやすい環境でした。

筆者はこれまで Docker Desktop と kind を使っていましたが、OrbStack と kind の組み合わせに移行しようと思います。


  1. UTM はコンテナ環境を提供しないため、仮想マシンのホスト環境としての性能比較となります。 ↩︎

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