npm モジュールを GitHub Actions で GitHub Packages にデプロイする

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庄司です。

GitHub Packages は、Docker イメージ、npm、Maven、NuGet、RubyGems などさまざまな言語で書かれたモジュール/パッケージを管理できます。

この記事では、OpenAPI Generator で生成した TypeScript モジュールを GitHub Actions を使って GitHub Packages にデプロイする方法を説明します。

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npm パッケージには本来 SNAPSHOT の概念はありませんが、この記事で説明するとおり、OpenAPI Generator で snapshot: true を設定することで、タイムスタンプ付きのパッケージを生成できます。

OpenAPI Generator

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このサンプルでは OpenAPI の定義 (openapi.yml) から OpenAPI Generator で axios を使うモジュールのコードを生成します。

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OpenAPI のような Schema 定義言語によって規定して開発する SDD (スキーマ駆動開発) は、日本CTO協会が監修・編纂しているDX Criteriaでも良いプラクティスとして SYSTEM-5-4 等であげられています。

OpenAPI の定義を openapi.yml ファイルに記述します。

OpenAPI Generator の設定ファイル client.yaml は次の通りです。

inputSpec: 'openapi.yml'
generatorName: typescript-axios
outputDir: modules/client
additionalProperties:
  npmName: "@edward-mamezou/example-client"
  npmRepository: https://github.com/edward-mamezou/use-openapi-generator.git
  snapshot: true

generatorName で、どの言語のクライアント用か、またはサーバー用かを指定できます。

ここでは、typescript-axios で言語に TypeScript、ライブラリに axios を使うクライアントコードの生成を指定しています。

npm はスコープ単位で npm リポジトリの URL を指定できます。npmName でスコープ (@edward-mamezou) を付与したパッケージ名にしています。

コード生成のコマンドは次のようになります。

java -jar openapi-generator-cli.jar generate -c client.yaml --git-user-id=edward-mamezou --git-repo-id=use-openapi-generator

生成される package.json にデプロイ先の GitHub Packages のユーザーIDとリポジトリIDを出力するため、git-user-idgit-repo-id をオプションで設定します。

生成された package.json は次のようになります。

{
  "name": "@edward-mamezou/example-client",
  "version": "0.6.0-SNAPSHOT.202207101913",
  "description": "OpenAPI client for @edward-mamezou/example-client",
  "author": "OpenAPI-Generator Contributors",
  "repository": {
    "type": "git",
    "url": "https://github.com/edward-mamezou/use-openapi-generator.git"
  },
  "keywords": [
    "axios",
    "typescript",
    "openapi-client",
    "openapi-generator",
    "@edward-mamezou/example-client"
  ],
  "license": "Unlicense",
  "main": "./dist/index.js",
  "typings": "./dist/index.d.ts",
  "scripts": {
    "build": "tsc --outDir dist/",
    "prepare": "npm run build"
  },
  "dependencies": {
    "axios": "^0.26.1"
  },
  "devDependencies": {
    "@types/node": "^12.11.5",
    "typescript": "^4.0"
  },
  "publishConfig": {
    "registry": "https://github.com/edward-mamezou/use-openapi-generator.git"
  }
}

OpenAPI Generator の設定で snapshot を true にしたため、バージョンにはタイムスタンプが付加されています。

GitHub Actions

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GitHub Actions の actions/setup-node@v3 で GitHub 上に .npmrc ファイルが生成されます。

- name: Use Node.js
  uses: actions/setup-node@v3
  with:
    node-version: '16.x'
    registry-url: 'https://npm.pkg.github.com'
    scope: '@edward-mamezou'

生成される .npmrc ファイルは次のようなイメージになります。

@edward-mamezou:registry=https://npm.pkg.github.com/
//npm.pkg.github.com/:_authToken=${NODE_AUTH_TOKEN}
Information

actions/setup-node の設定と生成される .npmrc ファイルの関係の詳細は、GitHub リポジトリを参照するとよいでしょう。

registry-url については、次のように書かれています。

Optional registry to set up for auth. Will set the registry in a project level .npmrc and .yarnrc file, and set up auth to read in from env.NODE_AUTH_TOKEN.

認証のためのオプションの設定。プロジェクトレベルの .npmrc と .yarnrc ファイルにレジストリが設定される。環境変数 NODE_AUTH_TOKEN を読み込む認証が設定される。

一連の処理を実行する GitHub Actions の定義は次のようになります。

- run: (cd modules/client; npm install)
- run: (cd modules/client; npm publish)
  env:
    NODE_AUTH_TOKEN: ${{ secrets.GITHUB_TOKEN }}

OpenAPI Generator の設定により、コードは modules/client ディレクトリに生成されています。そのため、npm install の前に cd modules/client でディレクトリを移動しています。

npm install で依存ライブラリを node_modules にインストール (ダウンロード) します。

GitHub Actions (setup-node) が生成する .npmrc ファイルのパスは、環境変数 NPM_CONFIG_USERCONFIG に設定されます。

npm publish で使用する _authToken は GitHub から取得して環境変数 NODE_AUTH_TOKEN に設定しています。

npm publish コマンドで、ビルドと GitHub Packages にデプロイします。

ここで説明した全体のコードは、GitHub リポジトリ にあります。

パッケージの使用方法

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先に GitHub の Personal Access Token を取得しておいてください。

Information

Personal Access Token を取得する手順は次のようになります。

  1. GitHub にサインインして、アカウントにある「Settings」をクリックします。
  2. 左側のメニューの一番下にある「Developer settings」をクリックします。
  3. 「Personal access tokens」をクリックします。
  4. 「Generate new token」ボタンをクリックします。
  5. 「Note」に任意の値を入力し、少なくとも public_reporead:packages を選択しておきます。
  6. 「Generate token」ボタンをクリックして、表示されるトークンを記録しておきます。

GitHub Packages に登録したパッケージの取得を試すために、npm init で example プロジェクトを作成しましょう。

npm init

example プロジェクトに、次の内容の .npmrc ファイルを作成します。

@edward-mamezou:registry=https://npm.pkg.github.com/
//npm.pkg.github.com/:always-token=true
//npm.pkg.github.com/:email={Email Address}
//npm.pkg.github.com/:_authToken={PERSONAL ACCESS TOKEN}

作成したプロジェクトに、パッケージの依存を追加して、取得します。

npm install --save @edward-mamezou/example-client

package.json は次のようになり、node_modules ディレクトリには依存ライブラリがインストールされます。

{
  "name": "example",
  "version": "1.0.0",
  "description": "",
  "main": "index.js",
  "scripts": {
    "test": "echo \"Error: no test specified\" && exit 1"
  },
  "author": "",
  "license": "ISC",
  "dependencies": {
    "@edward-mamezou/example-client": "^0.6.0-SNAPSHOT.202207100617"
  }
}

最後に

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この記事では、GitHub Actions を使って GitHub Packages に npm パッケージを登録、使用する方法を説明しました。

npm パッケージをインハウスのレジストリ (AWS CodeArtifact、Sonatype Nexus、JFrog Artifactory、あるいは GitLab Packages & Registries 等) に登録して共有したい場合も .npmrc ファイルの設定等の基本的な部分は GitHub Packages を使う場合と同じです。

参考

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