AWS認定12冠から3年後 - 更新と新認定区分について
Back to Topこれは、豆蔵デベロッパーサイトアドベントカレンダー2025第23日目の記事です。
はじめに
#2022年12月12日に「AWS認定資格を12個すべて取得したので勉強したことなどをまとめます」という記事を投稿してから3年が経ちました。
この記事では、その後の3年間でどのような変化があったか、そして新しく追加された認定区分についてまとめます。
秘密保持契約(NDA)があるため、詳細な試験内容については触れることができませんので、ご了承ください。
3年間の振り返り
#2022年10月にAWS認定12冠を達成してから、3年間が経過しました。この間、いくつかの認定が有効期限を迎え、更新が必要になりました。
認定の更新について
#AWS認定は有効期限が3年です。2022年に取得した認定は、2025年には更新が必要になります。
今回更新対象となった資格は、5資格です。
プロフェッショナル2資格の更新
プロフェッショナル2資格(ソリューションアーキテクト、DevOpsエンジニア)は下位資格の更新も含むため、期限となる6月より余裕をもって1月に更新しました。
プロフェッショナルレベルの認定は、下位のアソシエイトレベルの認定(Solutions Architect – Associate、Developer – Associate、SysOps Administrator – Associate)も同時に更新されるため、一度の更新で複数の認定を維持できるメリットがあります。
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AWS Certified Solutions Architect – Professional
- 内容は以前と変わらず、Organizationを中心としたアーキテクチャ、セキュリティ、運用など幅広い知識を問われました
- マルチアカウント戦略やガバナンス、コスト最適化、災害復旧など、エンタープライズレベルの設計に関する問題が多く出題されました
- 問題文は相変わらず長文で、要件を整理しながら読む必要がありました
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AWS Certified DevOps Engineer – Professional
- こちらも以前と変わらず、ソリューションアーキテクトとセットで受験すると勉強した知識などを活かせました
- CI/CDパイプラインの設計、インフラストラクチャの自動化、モニタリングとログ管理などが主な出題範囲でした
- 廃止となるはずだったCode Commitが出てきて「今更これを問う意味はあるのか?」と疑問に思いましたが、撤回されたので意味ありました
専門知識3資格の再取得
専門知識3資格(セキュリティ、機械学習、高度なネットワーキング)は準備期間に余裕を持たせ、有効期限を気にせず失効後に順次再取得しました。
専門知識資格はプロフェッショナル資格と異なり、下位資格の更新には含まれないため、個別に更新する必要があります。
高度なネットワーキングは苦手で再受験キャンペーンにお世話になりました。
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AWS Certified Security – Specialty
- 受験したタイミングではSCS-C02でしたが、以前と特に変わったと思う点はありませんでした
- IAM、セキュリティグループ、ネットワークACL、WAF、GuardDuty、Security Hubなど、セキュリティに関する幅広い知識が問われました
- マルチアカウント環境でのセキュリティガバナンスや、コンプライアンス要件を満たすための設計に関する問題も多く出題されました
- SCS-C03では生成AI関連のセキュリティも増えるようなので、カバーする範囲が増えそうです
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AWS Certified Machine Learning – Specialty
- 2026年3月31日に廃止が発表されました
- 内容は以前と変わらず、機械学習が中心でした
- Amazon SageMakerを中心とした機械学習パイプラインの構築、モデルの訓練とデプロイ、モニタリングなどが主な出題範囲でした
- データの前処理、特徴量エンジニアリング、モデルの評価方法など、機械学習の基礎知識も必要でした
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AWS Certified Advanced Networking – Specialty
- 今回の更新で一番内容が変わっていた気がします
- 以前はDirect ConnectやVPN接続が中心でしたが、今回はAWS Global Accelerator、CloudFront、Route 53などのグローバルネットワークサービスに関する問題が増えていました
- マルチリージョン環境でのネットワーク設計や、ハイブリッドクラウド環境での接続性に関する問題も多く出題されました
- Transit GatewayやGateway Load Balancerなど、比較的新しいサービスに関する問題も増加していました
廃止になった専門知識3資格
廃止となり、取得日から3年たった日に無効化されていきました。
これらの資格は、新しい認定区分への統合や、AWS認定プログラムの再編成により廃止されました。
有効期限が切れるまでは認定として有効でしたが、更新の機会はなく、自然に失効していきました。
- AWS Certified Database – Specialty
- AWS Certified Data Analytics – Specialty
- AWS Certified SAP on AWS – Specialty
3年間で得た経験
#2022年の記事では「実際にAWSを触ってシステムを構築したわけでもないので、今後は実際のシステム構築で使える技能を付けていきたい」と書きました。
この3年間で、実際のプロジェクトでAWSを活用する機会はありましたが、まだ簡単なアプリケーションの方式設計程度にとどまっています。
実務でのAWS活用
実際のプロジェクトでは、以下のような場面でAWS認定で学んだ知識が役立ちました:
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既存システムの理解
- すでに動いているAWSシステムを理解する際に、認定で学んだ知識が大いに役立ちました
- どのAWSサービスが使われているか、サービス間がどのように連携しているかを理解する際に、認定で学んだ各サービスの特徴や使い方の知識が参考になりました
- システムの構成図やドキュメントを読む際に、AWS認定で学んだ知識があることで、理解がスムーズになりました
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システムの動作確認や調査
- 既存システムの動作確認やトラブルシューティングの際に、認定で学んだ知識が役立ちました
- IAMロールやセキュリティグループの設定を確認する際にも、認定で学んだ知識が理解の助けになりました
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設計レビューやドキュメント理解
- 他のメンバーが設計したAWS構成や、既存システムのドキュメントを理解する際に、認定で学んだ知識が役立ちました
- 認定で学んだベストプラクティスやセキュリティの知識があることで、設計の意図や注意点を理解しやすくなりました
認定知識と実務のギャップ
認定で学んだ知識と実務には、いくつかのギャップがあることも実感しました:
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実務では複数のサービスを組み合わせる必要がある
- 認定試験では個別のサービスの知識が問われますが、実務では複数のサービスを組み合わせてシステムを構築します
- サービス間の連携や、データフローの設計など、より実践的な知識が必要だと感じています
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コストとパフォーマンスのバランス
- 認定試験では「最適な解決策」を選ぶ問題が多いですが、実務ではコストとパフォーマンスのバランスを考慮する必要があります
- 実際のプロジェクトでは、予算の制約や、既存システムとの互換性など、試験では考慮されない要素も重要です
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実際の構築・運用経験の不足
- 認定で学んだ知識は主に設計や概念に関するもので、実際の構築や運用の経験はまだ不足しています
- 今後は、実際にAWSを使ってシステムを構築し、運用する経験を積んでいきたいと考えています
新認定区分について
#2022年以降、AWS認定には新しい区分が4つ追加されました。そのうち3つはすでに取得済みで、デベロッパーサイトの記事にもしています。
- 2024年3月23日: AWS Certified Data Engineer - Associate
- 2024年9月26日: AWS Certified AI Practitioner
- 2024年12月6日: AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate
今回話題に挙げるのは、4つ目の新認定区分である生成AIデベロッパープロフェッショナルです。
AWS Certified Generative AI Developer – Professional
#AWS Certified Generative AI Developer – Professionalは、Amazon BedrockなどのAWSサービスを使用した、本番環境に対応するAIソリューションの構築およびデプロイにおける高度なスキルを証明するプロフェッショナルレベルの認定です。
試験の概要
- カテゴリ: Professional
- ベータ試験期間: 205分
- ベータ試験形式: 85問、択一選択問題および複数選択問題
- ベータ試験料金: 150 USD(日本では22,000円(税込み))
- ベータ対象言語: 英語および日本語
なお、再受験キャンペーンは使えませんが、通常の半額バウチャは使えます。
対象となる受験者
この認定は、2年以上のクラウド経験があり、キャリアを高めたいと考えている開発者に最適です。
対象となる受験者は、以下の要件を満たしている必要があります:
- AWSで、またはオープンソーステクノロジーを使用して本番環境グレードのアプリケーションを構築した2年以上の経験
- 一般的なAI/MLまたはデータエンジニアリングの経験
- 生成AIソリューションの実装における1年の実務経験
- AWSコンピューティング、ストレージ、ネットワーキングサービスの経験
- AWSセキュリティのベストプラクティスとID管理についての理解
- AWSのデプロイとInfrastructure as Codeツールの経験
- AWSモニタリングおよびオブザーバビリティサービスについての知識
- AWSコスト最適化原則の理解
ベータ試験について
ベータ試験なので機械学習エンジニア-アソシエートやAIプラクティショナーの時と同じく認定ガイドに沿って準備を進めました。
ベータ試験は通常の試験とは異なり、試験内容や形式が確定する前の段階で受験する試験です。
AWS認定では、標準バージョンの試験で問題が使われる前にベータ試験を使用して試験問題の質が検証されます。
ベータ試験の合格者は新しい認定の最初の取得者になります。
最初の5,000名の試験参加者には、合格時に特別なEarly Adopterバッジが贈られます。
そのため、認定ガイドをしっかりと確認し、出題範囲を理解した上で準備することが重要です。
準備方法
ベータ試験の準備として、以下のような方法で学習を進めました:
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認定ガイドの確認
- 出題範囲と各ドメインの重み付けを確認し、重点的に学習すべき領域を把握しました
- 生成AIデベロッパープロフェッショナルの場合、Amazon Bedrock、Amazon SageMaker、AWS Lambda、Amazon API Gatewayなどが主な対象サービスでした
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公式ドキュメントとハンズオン
- Amazon Bedrockの公式ドキュメントを読み込み、主要な機能や使い方を理解しました
- AWS Skill Builderの関連コースや、ハンズオンラボで実際にサービスを触ってみました
- 生成AIアプリケーションの構築パターンや、ベストプラクティスを学習しました
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関連認定の知識の活用
- AI PractitionerやMachine Learning Engineer – Associateで学んだ知識を活用しました
- Solutions Architect – Professionalで学んだアーキテクチャ設計の知識も役立ちました
- セキュリティやモニタリングに関する知識も、生成AIアプリケーションの設計に必要でした
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実務経験の活用
- 実際のプロジェクトでは簡単なアプリケーションの方式設計程度しかできていませんが、その経験が問題の理解に少しは役立ったと思います
- ただし、実務では限定的な経験にとどまっているため、認定ガイドでカバーされている範囲を広く学習する必要がありました
受験してみた
受験してみました。
しっかり準備したつもりでしたが、思っていた内容と異なっていました。
試験の難易度と特徴
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問題数と時間
- 205分で85問という構成で、1問あたり約2.4分の時間配分が必要でした
- 問題文と選択肢が非常に長文で、文章から構成図をイメージするのに時間がかかりました
- 複数のサービスを組み合わせた複雑なシナリオが多く、全体像を把握するのに時間がかかりました
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出題内容の特徴
- Amazon Bedrockを中心とした生成AIアプリケーションの構築に関する問題が多く出題されました
- 本番環境での運用を考慮した設計(スケーラビリティ、セキュリティ、コスト最適化など)が問われました
- 複数の選択肢が正解に見える問題が多く、ベストプラクティスに基づいた判断が求められました
- エラーハンドリングやモニタリング、ログ管理など、運用面での考慮事項も多く出題されました
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時間配分の課題
- ギリギリまで時間がかかり、見直しの時間がほとんど取れませんでした
- 文章を読むのが遅いのを直さなければいけないと、いつも感じています
- 長文の問題を素早く理解し、要点を整理する能力が重要だと実感しました
結果と今後の対策
X(旧Twitter)などでは合格報告をよく見かけますが、残念ながら不合格でした。
正式リリースまでに、以下の点を改善して準備を進めたいと思います:
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長文問題への対応
- 問題文を素早く読み、要点を整理する練習を重ねる
- 構成図やアーキテクチャ図を素早くイメージできるようにする
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実践的な知識の強化
- Amazon Bedrockを使った実際のアプリケーション構築経験を積む
- 本番環境での運用を考慮した設計パターンを学習する
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関連サービスの深い理解
- AWS Lambda、Amazon API Gateway、Amazon CloudFrontなど、生成AIアプリケーションでよく使われるサービスの詳細な理解を深める
- セキュリティ、モニタリング、コスト最適化などの観点から、ベストプラクティスを学習する
認定取得のモチベーション維持
#3年間、認定を維持し続けるためには、継続的な学習が必要です。
以下のような方法でモチベーションを維持してきました:
継続的な学習方法
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定期的なAWSサービスのキャッチアップ
- AWSの公式ブログや、re:Inventのセッション動画を定期的に視聴して、新しいサービスや機能をキャッチアップしています
- AWS Skill Builderのコースを活用して、体系的に知識を更新しています
- 特に生成AI関連のサービス(Amazon Bedrock、Amazon Qなど)は、頻繁にアップデートがあるため、継続的な学習が必要です
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実務でのAWS活用
- 実際のプロジェクトでAWSを使うことで、認定で学んだ知識を実践で活用し、理解を深めています
- 実務で直面した課題を解決する過程で、新しい知識やベストプラクティスを学んでいます
- 認定で学んだ知識が実務で役立つことを実感することで、学習のモチベーションが維持されます
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新しい認定区分への挑戦
- 新しい認定区分が追加されると、新しい知識を学ぶ機会として積極的に挑戦しています
- ベータ試験に参加することで、新しい認定の最初の取得者になることを目指しています
- 新しい認定区分への挑戦は、学習のモチベーションを高める良いきっかけになります
モチベーションの源泉
#また、2026 Japan All AWS Certifications Engineersのクライテリアを満たすことが大きなモチベーションとなっています。
2023年、2024年、2025年と3年連続で対象となり、引き続きすべてのAWS認定資格を保持し続けることが目標です。
この目標を達成するためには、以下のような取り組みが必要です:
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認定の更新計画
- 各認定の有効期限を管理し、更新が必要な認定を事前に把握しています
- プロフェッショナル資格は下位資格も更新されるため、優先的に更新するようにしています
- 専門知識資格は個別に更新する必要があるため、計画的に準備を進めています
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新しい認定区分への対応
- 新しい認定区分が追加されたら、できるだけ早く取得するようにしています
- ベータ試験に参加することで、早期に取得できる可能性があります
- 新しい認定区分への対応は、すべてのAWS認定資格を保持し続けるために必要です
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コミュニティとの交流
- X(旧Twitter)や技術ブログなどで、同じ目標を持つ人たちと情報交換をしています
- 認定取得の経験や、学習方法などを共有することで、モチベーションを維持しています
- コミュニティとの交流は、学習の継続を支える重要な要素です
まとめ
#2022年にAWS認定12冠を達成してから3年が経過し、いくつかの認定の更新が必要になりました。
また、この間に新しい認定区分が追加され、AWS認定の選択肢が広がりました。
認定を取得することはゴールではなく、継続的な学習のきっかけとして活用していきたいと考えています。
今後も、新しい技術や認定区分にチャレンジし続けていきたいと思います。
