駆け出しスクラムマスター Stage2 オンライン開発チームの雰囲気づくり

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Author: misato-kamei misato-kameiの画像

この記事は夏のリレー連載2024 4日目の記事です。

はじめに

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ご無沙汰しております。スクラムマスターの亀井です。
スクラムの深みにもがく日々は相変わらず健在で、毎日思わず遠い目をしています。
スクラムマスターの活動としては、今年の始め頃から別のプロジェクトチームに参画することになりました。


参画時のチームの雰囲気

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このチームの活動環境は基本的にリモートで、就業時間中は常に繋いでいる状態です。
ただし、リモートで常に繋がっているとは言え、参画した当初のチームは以下のような状況でした。

・PCのスペックの問題もありカメラは常にOFF、音声のみでコミュニケーション
・基本発言時以外はミュートが解除されない
・会話の内容は技術的な質疑応答や業務連絡が中心で、雑談や笑い声がない
・全メンバーが集まる場でも、ごく一部の固定メンバーの声しか聞こえないまま議論が進むのが常態化
・メンバー間で協力し合う「チーム」というよりは個人商店が集まった「グループ」という印象

このチームの雰囲気のままスクラムで、より価値の高い、ユーザーにインパクトがあるプロダクトを作れるのか、まず考えてみました。
その結果、「まず先に、チームメンバー間のコミュニケーションを活発にしてチームワークを向上させるべきだ」、と私は思いました。
でも、どうやってチームメンバー間の心理的安全性を高めてチーム内の雰囲気を一新させよう...?

心理的安全性とは?

簡単に言うと、自分の意見や気持ちを安心して発言できる状態のこと


チームの雰囲気作りのためにやってみたこと

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チームの雰囲気を変えるべく、私が改善のActionをあれこれチームに提案する前に、私を新しく入ってきたメンバーとしてチームに受け入れてもらおうと考えました。
そこで、仲間意識を持ってもらうためにやってみた行動をいくつかここでご紹介します。
他のメンバー間よりも先に、まず個々のメンバーと私の間で互いに心理的安全性を構築するのが狙いです。

  1. 相手の心を開いてもらうために、まず自分から心を開く
    チームメンバーのことを知ろうにも、余程アクティブな人でない限り相手から教えてくれるわけでもないです。
    リモートで互いの顔も見えないし、開発者とスクラムマスターの共同作業が既に用意されている訳でもないですし。
    自分から話しかけにいかないとなかなか接点を持つのは難しいです。
    私はまずペアプロ開発しているところへお邪魔して、どんな開発を今しているのか「それって何ですか?」「今何をしている状況ですか?」と好奇心をもって問いかけで会話のきっかけにしていました。
    字面だと伝わりにくいですが、問いかけをする際は語尾を上げると柔らかい口調に聞こえやすくなります。
    会話の糸口から幅を広げ、その人の気持ちだとか人となりをつかむように意識しました。

  2. 返答時は常に少し声のトーンは高めで、相手の意見を受け入れる
    意図していなくとも案外、通常の自分の声は低めになってしまい不機嫌に聞こえることがあります。
    少し声のトーンを高くすることで、機嫌が良い状態だ、と相手が私に声をかけるハードルを低く感じるように意識しました。
    また、基本スタンスは「YesMan」でした。
    スクラムの些細な事で質問が来たり、「たいしたことではないんですけど...」といった小さな相談から雑談まで、いつでも顔は見えないけど笑顔で「いいですよ!どうしましたか?」と応えるようにしています。
    私に対して気軽に話せる人と認識してもらえるよう相手の意見を基本的に受け入れるスタンスをとってしました。

  3. 相槌も沈黙も「声」に出す
    対面で仕事しているなら、顔の表情や動きでその人が何を考えているか雰囲気が伝わってくるはずです。
    しかし、このプロジェクトは常時カメラOFFの相手の顔が見えない現場、そんななか相手の状態を推し量るのは「声」のみです。
    誰かが話しているときは適度に「うん、うん」と声で相槌、返事に迷ったら黙らず「うーむ」と声に出す、といったように、積極的に声をだして、聞いてますよ!とアピールしていました。
    逆の立場だと、一生懸命話して何のリアクションも無いというのはかなり辛いです。本当に。
    相手がリモートで話すことの緊張のハードルを少しでも下げるべく、積極的に「声」を使ってました。

  4. 他のチームメンバーよりも早めに反応する
    顔が見えないリモートでの沈黙は2,3秒でもプレッシャーを感じます。
    この数秒で発言者の脳内は、自分の発言が的を射ていない、相手に伝わりにくい内容だったかも、といった不安が脳内を駆け巡ります。
    楽しい内容なら笑い声を、返答に迷う・考え中なら「んー」、上手く理解できなかったら適宜「XXということでしょうか?」と率先してつなげるようにしていました。
    逆に私から会話のボールを投げて少し間があくようでしたら「今考え中ですかね~」と早く応えて!とプレッシャーをかけないように意識していました。

  5. まず一人、自分の味方をチーム内に作る
    チームの中心になっている人、できればスクラムに理解がある人を仲間に!
    スクラムマスターとして今後打ちたい手がこのチームに効果がありそうか頭出しもかねて相談していました。
    そして、過去にどんな経緯があって今のチームの状況になったのかを積極的に知るようにしました。
    そこから、チームの背景やチームメンバーの特徴を踏まえてどんな手を打つと良い結果を得られそうか相談相手になってもらいました。

顔が見えない分かなり声を活用していますが、リモート環境によってはスタンプでリアクションできる機能が備わっていることもあります。
声が使いにくい状況によってはそのような機能を使って積極的にリアクションもしていました。
これらのような動きをすることで、私がチームに馴染むことに大きく作用しましたが、それをきっかけに他のメンバーにもあらゆる影響がでてきました。
それは、ミュートが多かったけれど必要な場面は自ら声をあげるメンバーが増えたり、いつの間にか私以外のメンバー間でも雑談や談笑をすることが見受けられるようになりました。
インセプションデッキやチームビルディングのワークショップをせずとも、チームの雰囲気が良くなるきっかけはあるんだな、と私自身学んだ瞬間でした。


おわりに

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すぐに心理的安全性を高めることはできるか、については信頼関係と一緒で難しいです。
しかし、地道な働きかけが少しずつ効いて、今ではステークホルダーの方々からも「このチームは楽しそうね」と言われるほど和気あいあいと楽しい雰囲気をまとうようになりました。
ただ、楽しいだけでは良いチームとはなりません。
自分の思いを素直にさらけ出せて、課題への挑戦、プロダクトのための活発な意見交換などみんなで前向きに進めるチームが良いチーム、と思います。
スクラムやオンライン関係なく、誰かと協力して物事を進める際には心理的安全性の確保は大事な要素だと思います。
この記事はオンラインで実際にやってみた行動を紹介しましたが、少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

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