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オンライン研修の設計勘所(その0:そもそも研修設計とは研修設計していますか?)

| 3 min read
Author: toshio-yamaoka toshio-yamaokaの画像

はじめに

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新型コロナウィルス感染症の影響により2020年春から企業研修の多くは、オンラインでの開催となりました。オンライン研修特有の研修設計のお話を記載する予定です。

今回の記事では、オンライン研修に限らず一般的な企業研修を対象に研修設計のお話を記載します。

企業研修では、同じ研修内容を毎年や隔月などで複数回実施することがあります。

その際、研修講師のスケジュールによっては、同じ講師をアサインできないことがあります。この場合、同じ内容の研修を講師Aが担当したり、講師Bが担当することになります。また、同じ日程で並行して複数クラスで実施する場合も、同じ研修を複数の講師が担当します。

同じ研修コンテンツを利用した研修でも講師により受講者の成長度合いに差が発生することがあります。

これは研修の成否(受講者の成長)が講師の質(講師スキル)に大きく依存していると言えます。

受講者の立場からすると、話が上手で納得感を得ながら研修を進めてくれる人物が研修講師を担当すべきだと考えるでしょう。そのような”当たり”の講師が担当する研修へ参加したいと思うでしょう。

では、当たりの講師はどのように研修を進めているのでしょうか。

講師Aは、いきなり研修内容の話に入り、淡々と研修コンテンツ(教材)の内容を忠実に話すのみ。

講師Bは、これから学習する内容と受講者の業務との関わり、学習内容を身につけることでどのようなメリットがあるのかを話し、研修後、具体的に何ができたらOKなのかを受講者と共通認識してから本題には入る。

どちらが当たりの講師かは明確ですね。講師Bになります。

講師Bが講師として実施している内容(学習内容以外のこと)が学習効果を高めているのであれば、それを研修コンテンツに始めから組み込んでおけばよいのです。

「研修の設計」は、講師の力量だけに頼る研修ではなく、学習を促進し教育効果を高める仕組みを研修コンテンツそのものに意図的に組み込む行為と捉えることができます。

「研修の設計」には、学習内容の構造化、学習の指導方略などが含まれます。

研修の開発プロセス

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情報システムを開発する際は、開発プロセスに則り手順通り開発を進めます。弊社デベロッパーサイトへ訪れる方々は、システム開発に慣れ親しんでいると思います。研修も開発プロセスが存在しています。代表的な開発プロセスは、ADDIE(アディー)モデルです。

ADDIEモデル

ここでは簡単に触れておく程度にします。

A:Analysis
システム開発プロセスでいうところの企画と要件定義に対応します。
研修目的や対象者、研修の学習目標を定義します。

D:Design
システム開発プロセスでいうところの概要設計と詳細設計に対応します。
研修方式(集合orオンライン、同期型or非同期型)の決定や前段のAnalysisの研修目標をブレークダウンします。その後、目標達成に必要な要素を洗い出したり、洗い出した要素をどの位の粒度(量)で、どのような順番で学習するかを決定します。また、学習を支援するための策を決定します。

D:Development
システム開発プロセスでいうところの実装に対応します。
設計に則り教材(テキストや演習)を作成します。

I:Implementation
システム開発プロセスでいうところの運用に対応します。
出来上がった教材をもとに研修を実施します。

E:Evaluation
システム開発プロセスではぴったり対応するフェーズがなく、あえて当てはめるなら保守に対応します。
実施結果を評価して研修の改善に取り組みます。

なお、「研修設計」という用語と「研修の設計」を使い分ける必要があると私は考えます。

「研修設計」はインストラクショナルデザイン(ID)を語源にしており、その「ID」は

教育活動の効果と効率と魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセスのことを指す(1

と説明がなされています。

ADDIEモデルのDesignだけを指すのではなく、ADDIEモデルでいうところのプロセス全体をさします。

一方「研修の設計」は、ADDIEモデルのDesign工程のみをさします。

「研修設計」(開発プロセス)を導入・活用しないで研修を作ってしまうと様々な弊害が生じます。

例えば、

  • 企画・要件定義の工程を抜かしたり疎かにしてしまうと職場の教育ニーズとかけ離れた研修内容なってしまう。
  • 設計の工程を抜かしてしまうと、受講者にとって無味乾燥な教材になってしまう。
  • アンケートは集めているが、その内容をもとに改善を行わない。

皆さんの周りにもそのような研修が存在しませんでしょうか。

正しくシステム開発するには開発プロセスが必要なように、正しく研修を作るには「研修設計」が必要となります。

次回以降、「研修の設計」にフォーカスして話を進めます。


参考文献

  1. 鈴木克明(2005) 教育の効果・効率・魅力を高めるインストラクショナルデザイン サイエンティフィック・システム研究会 研究教育環境分科会2005年度第1回会合資料

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